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【第7話】カラフル(3)

 幾ヶ瀬と有夏はアパートの隣り同士だ。  狭いアパートの一室である幾ヶ瀬の部屋に、有夏が居候しているという形となっているのは、ひとえに彼の部屋が足の踏み場もないゴミ屋敷と化してしまっているからに他ならない。  ただのお隣りさん、ただの友だち、でないことは見ての通りだ。 「好きだよ、有夏。ね、有夏は? 俺のこと好き?」 「有夏は……うっ……」  穏やかな目に見つめられて、有夏はくちごもる。  こんな朝っぱらから好きなんて言えない──明らかに狼狽えた様子で視線が泳ぐ。 「い、いいから早く行けってば……」   「はぁい。いってきまぁす」 「へいへい。いってら」  細腰を撫でまわしながら恋人の肩に顎を乗せる幾ヶ瀬と、宥めるように相手の胸元をポンポン叩く有夏。

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