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【第7話】カラフル(12)
「はは……小っさ」
隣りのマンションと向こうのビルの隙間から、大輪の花の一部だけが見える。
そういえば今日だったか。
近くの河原で毎年行われている花火大会を、有夏は一度も見に行ったことがない。
大抵は幾ヶ瀬が仕事だし、たまたま休日にかち合って彼が行きたいと誘ってきても、熱いのが苦手な有夏はのらりくらりと躱していたのだ。
──少しだけ見えるよ。一緒に見ようよ、有夏。
こうやってバルコニーからビルの隙間を覗いて、はしゃいでいた幾ヶ瀬の様子を思い出す。
──乙女かよ。
その時はゴロゴロしながらゲームをしていたっけ。
生返事をしたあげく悪態をついた記憶がある。
その時の幾ヶ瀬と同じ体勢で花火を見ていることに気付いて、有夏は苦笑した。
「なにが一緒に見ようよだよ。ヤツは有夏の彼女かっての」
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