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【第8話】ヘンタイメガネの変態たる所以(5)
いやはや。
まったく勘弁してくださいよ。
アレはまさしく修羅場ってやつじゃないですか。
関係ないのにいつまでもドキドキして狼狽してるアタシ。
有夏チャンが出て行って3時間ほどが経っていた。
しばらく呆然としていたヘンタイメガネも、我に返ると慌てて飛び出していったのだが、今さっきすごすごと戻ってきたところだ。
どう言っていいか分からないくらいうなだれている。
心当たりを探したけど、見付けられなかったってところか。
心当たりっていっても元来が引きこもりの有夏チャンのことだ。
行動範囲は著しく狭い。
正直コンビニくらいしか思い当たる所がない。
アタシとしちゃ、ヘンタイメガネが仕事をほったらかして有夏チャンの捜索をしているところが、他人事ながら気がかりでならないんだが。
あの店、コックが何人かいるっぽいけど……大丈夫かいな、メガネのクビは。
「ま、アタシが心配したってしゃあねぇか」
自分に言い聞かせるように声に出して、覗き穴から離れた時のことだ。
突然、玄関チャイムがピンポンと鳴った。
ドンドンと扉が叩かれ、更にピンポンの連打。
「隣りの幾ヶ瀬ですけど! 聞きたいことがありまして!」
え? ヤベ。
アタシはうろたえた。
ノゾキがバレたに違いない。
小さな穴だ。
分かる筈ないと思っていたのに。
ああ、ついにアタシもム所暮らしか。
罪状ノゾキか。
親が泣くな。
「ちょっと! 居ないの!?」
ドンドンとピンポンは更に激しくなる。
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