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【第9話】かきまぜる行為(7)
「有夏……、あり……かっ」
「んぁ……あっ、んっ……」
動く度に幾ヶ瀬の先走りの汁が有夏の内部を潤していくようで。
押し殺した悲鳴がゆっくりほどけていく。
「いく、せっ、このかっこ……ヤだっ」
腰から下がガクガク震えて身体を支え切れなくなったようで、有夏の上体は段々とキッチンの調理台へと沈んでいく。
「ごめんね、俺だって……有夏の顔、見たいよ?」
「じゃあ……いくせ、ベッド……」
「俺、嬉しいよ。有夏のこと、間違ってエリカって呼んだら怒ってくれて。ね、俺が他の人の名前呼んだら妬ける?」
「ったりま、え……」
熱を帯びた目で幾ヶ瀬は有夏の背中を見下ろした。
髪の隙間から覗く、首筋から肩にかけてのラインが白くて眩しい。
吸い寄せられるように舌を這わすと、有夏が悲鳴をあげた。
「ダメっ……いく、せっ、ここじゃ……んんっ、でる……っ」
幾ヶ瀬にとって神聖なキッチンに、まさか精液を撒き散らすわけにはいかないだろうというギリギリの訴えだったに違いない。
神聖なキッチンでコトに及んだのは、どちらかといえば幾ヶ瀬からであったが。
見下ろす首筋、耳たぶが見る間に真っ赤に染まっていく。
「もっ……ホント、に……。いく……せっ、ナカ、かき回すなっ……あっ、あっ……」
裏返った声に、絶頂を悟った幾ヶ瀬が有夏の前に手を差し出す。
「イッていいよ、有夏。俺も……いい? 有夏の、ナカ」
「んんあっ、いく……せっ」
大きく身体を震わせてから、有夏は全身から力が抜けたようにずるずるとその場に座り込んだ。
その背に抱きついたまま、幾ヶ瀬も引きずられるように床へ。
「……有夏、大丈夫?」
「んなわけねぇだろ……」
両手で顔を覆って肩で大きく息をしている。
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