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【第11話】そうだったのか、胡桃沢家(2)

 しかし言葉が発せられるより先に、有夏がガタガタ震え出した。 「くる……来るよ!」 「あ、有夏? どうしたの。マナーモードみたいになってるよ?」  有夏、小刻みに揺れてウーウー唸っている。  何だか怯えているようだ。  いつにない様子に、さすがの幾ヶ瀬も訝し気に彼の肩を抱いて部屋に入る。  ベッドに座らせて温かいミルクを与えると、ようやく有夏の震えは治まった様子。 「来るっ!」  一言、呟いた。 「な、何が? やめてよ。それ、何かすごく怖いんだけど。まさか稲川先生的なお話なんじゃ……有夏?」 「来る来る来る……クルッ!」  マナーモード、再び。  くるくる来る来る呟いて、また震え出した。  振動を止めるように抱きしめると、素直に頬を寄せてくる。

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