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【第12話】有夏邸 脱・GM屋敷!(10)

「む、無理だよ。明日日曜だし。ランチの人手足りないくらいだし。俺、厨房とホールの両方しなきゃなんないだろうし」  一瞬揺らいだ様子は見せたが、さすがの幾ヶ瀬も有夏のワガママより仕事を優先させるようだ。  何だろ。他人事ながらホッとしたよ、アタシは。 「幾ヶ瀬ぇ……」 「ご、ごめんって。有夏」  有夏チャン、そのまま幾ヶ瀬の胸に顔を押し付けた。 「姉ちゃん、奇行種だから。有夏、幾ヶ瀬が一緒じゃなきゃこわいよ……」 「なるべく早く帰るから。ね! 頑張ってね、有夏」  ゴミ袋を握り締めたまま、ヘンタイメガネも有夏チャンの背に手を回す。  2人して廊下で抱き合ってる。  どうでもいいけどオマエら、アタシの存在忘れてんだろ。  お隣りさんってだけで、全然関係ないアタシに掃除させといて、自分らはイチャつくってどういう神経してんだろうな!  ゴミ袋をぶん投げそうになったが、辛うじて踏み止まる。  チュッチュと潤った柔らかな肉同士が触れ合う音がしたからだ。  ウッヒョー、これはこれは……。

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