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【第13話】焦らしたあげく禁断のアブロマンス、なんてプレイを(16)

「でもなぁ、有夏がマンネリで嫌だって言ったから。だから、俺いろいろ考えて……」 「しつこっ!」  低い笑い声。  しばらく無言で抱き合っていたのだが、幾ヶ瀬がごそごそとゴーヤTシャツを引っ張るのに、有夏は怪訝そうに顔をあげた。 「脱いで、これ。下も」 「なに? またすんのかよ?」  言いながらも素直に両腕をあげて幾ヶ瀬にTシャツを脱がされる。  されるがままに、短パンも。 「ちょっと待ってね」  幾ヶ瀬は自分も全部脱ぐと、ゆっくり有夏を抱きしめた。 「どした? もっかいすんの?」 「違うよ。こうやってくっ付きたかっただけ」 「ん……」  コロリと横になって抱きしめ合う。  有夏の瞼がとろりと重くなってきたタイミングで、幾ヶ瀬が「あーあ」と明るい声を出した。 「いいな、旅行。あのTシャツは正直どうかと思うけど。お土産Tシャツシリーズのセンスは相当酷いと思うけど。でもなぁ、沖縄かぁ。いいなぁ」 「そぉ?」 「沖縄もいいけど、温泉とかどうだろう。ね、有夏。今度温泉に行こうよ」 「は? やだよ。どうせ有夏に浴衣着せてムラムラしたいだけだろが」  幾ヶ瀬、うっと怯む。 「よ、よく分かったね」 「長い付きあいじゃねぇの」  甘い笑い声。  そのまま有夏は目を閉じた。  やがて聞こえてきた寝息につられて、幾ヶ瀬も目を閉じる。 「焦らしたあげく禁断のラブロマンス、なんてプレイを」完 「有夏チャンのこっちのおクチはウソがつけない!?」につづく

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