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【第14話】有夏チャンのこっちのおクチはウソがつけない(2)

「さぁさぁ、手洗ったら座って! たくさん食べてね。本当に食べてね」  やけにテンションが高い。  肉じゃが、牛肉と野菜の炒めもの、牛肉の野菜巻き、牛丼、青椒肉絲、牛肉とごぼうのしぐれ煮……。  似たような色合いのメニューが食卓に乗り切らず、床にまではみ出ている有様。 「肉ばっか!」 「肉といっても牛肉だよ! 有夏、好きでしょ。牛だよ、牛!」 「いや、スキだけどさ……幾ヶ瀬がキモいわ」  卓の前に腰を下ろしながら不審気に見やると、幾ヶ瀬の目はグルグルと泳いでいた。 「レイゾウコガ……」 「は?」 「レイゾウコガコワレタンダヨッ」 「レイゾウコガコワ……冷蔵庫が壊れ……ウソッ!?」 「嘘つくわけないでしょ」 「んじゃ、有夏のアイスは!?」 「アイスなんて知らないよっ! 勝手にドロドロになってるよっ! 急いで冷凍室の食材を救出して、とにかく調理したんだよ。あのままじゃ駄目になっちゃうから」 「や、でも、さすがシェフだよな。こんなにたくさん料理……って、こんなに食えるかっ!」 「いや、そういうのいいから。食べて」  有夏、渾身のノリツッコミをあっさり流した幾ヶ瀬。

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