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【第15話】記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派(7)

 有夏、今度はおにぎりに手をのばす。  がぶりと一口喰らいついて、にんまりしたのは具がサケだったかららしい。 「ひどいよ、有夏。俺は1ヶ月前から楽しみにして。大事な日だから有給とって、一緒にお祝いしようって……」 「そんな有休の使い方を……!」  2つ目のおにぎりをモグモグ食べながら、有夏がちらりと幾ヶ瀬を見やる。 「じゃあ、メガテンの新作買お!」 「目が点?」 「……真・女神転生ってゲームだろ。またベタなギャグを」 「知らないよ。それ、ベタなギャグなの? 初めて言ったんだけど? そもそも2人の記念日だよ? 有夏、分かってるの!? 思い出になるような何か……」 「あー、分かったよ。んじゃ新型スイッチ買おう」 「何のスイッチ?」  おにぎりの3つ目にかぶりつきながら、有夏は少々呆れたように目を細めた。 「ニンテンドー様の新型Switchだろうが。家の中でもできるし、外にも持ち出せるやつの新型。まさか知らねぇとか? 画面が大きくなって、あといろいろ良くなったらしい。すごく良くなったらしい!」  曖昧な情報を饒舌に喋る有夏を、半眼を閉じた幾ヶ瀬が眺める。 「有夏、外出ないからいらないじゃん」 「うっ……」

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