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【第15話】記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派(8)
「だからさ、今のみんな有夏が欲しい物ってだけでしょ。そうじゃなくて2人の記念の……」
ムスッとした表情で有夏がヨーグルトの蓋を開ける。
今日は白桃のヨーグルトだ。これは幾ヶ瀬が好きなものである。
「……じゃあ、やわもちアイスにする? おいしいし、アレだったら幾ヶ瀬も好きだろ。それか、このさいダッツ?」
「うん、だいぶ近付いてきたよ! うーん……けど、そういうことじゃあ、ないんだな」
「なにこれ。クイズ?」
何て噛みあわない会話だろう。
クイズというわけでもないので幾ヶ瀬も黙ってしまう。
その沈黙を、有夏は珍しく深読みした。
「記念って、まさかエロいカッコでプレイとか!?」
「えっ?」
「まさかハダカエプロンとか考えてんじゃ?」
瞬間的に想像が広がったか、幾ヶ瀬が白目を剥いた。
「……いや、違うな。有夏の裸エプロンはどう考えても罰ゲームって感じで、肝心のエロさが感じられないな。恥じらいなく着てそう。それはちょっと……違うんだな」
「まさかの駄目出し!?」
いっそ俺が着る方がイイのかも……なんてブツブツ言っている。
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