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【第15話】記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派(14)
「な……んだよ。んなの、どっちもいっしょ……」
「全然違うんでしょ」
握られた手に、どちらともなく力が加えられる。
どっちともう一度問われて、有夏は視線を逸らせた。
目元が赤く染まっている。
「……ベッド、かな。いや、でも」
幾ヶ瀬は履きかけていた靴を脱いだ。
有夏の腰にスルリと手を回し、顔を近づける。
「ね、初チューのこと覚えてる?」
「なに言って……わ、忘れたよ」
視線が泳いでいる。
呼吸が早くなり、何かを期待しているのか、有夏の唇が微かに震えた。
「嘘。ちゃんと覚えてるくせに」
ゆっくり顔が近付き、唇が微かに触れ合う。
柔らかな果実をついばむように、幾ヶ瀬は何度も有夏の下唇にキスをする。
「ベッド、行く?」
「ん……」
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