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【第15話】記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派(15)

 言いながらも、2人はその場から動こうとしない。  何度も唇を重ね、互いの頭をかきいだくように抱きしめると舌を絡め合う。 「こんな……じゃ、なかった、かな」 「ん?」 「さいしょ……もっと、やさしかった……」  喘ぐように呼吸を繰り返して、有夏。  潤んだ双眸で目の前の男を見つめる。 「ちゃんと覚えてるじゃない」 「うるさ……んん」  有夏の頬をぺろりと舐めあげてから幾ヶ瀬は一瞬、手を放した。  その僅かな間に有夏の短パンを下着ごとずり下ろし、自分の前もはだける。 「有夏、足あげて」 「え……?」  彼の足の間に左手を差し込むと、有夏の右足を持ち上げた。  もちろんバランスを崩さないように、右手を腰に添えて支えてやる。 「大丈夫だよね?」 「なんで大丈夫って言える!? ちょっ……ムリムリ! ムリだっ……て」

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