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【第18話】こうして秘密が暴かれる(2)

 相変わらず忙しいらしい幾ヶ瀬は、今日──もう昨日になるのだが──も早番の入り時間に出かけ、遅番の上がり時間で帰ってきた。  昼休みは例によっていちいち家へ帰ってくるのだが、やはりどこか慌ただしく店に戻っていく。 「プリンはいいからさっさと寝ろよ。疲れてんだろ」  有夏にしては珍しい。  気をきかせてそう言うと、幾ヶ瀬は型に入れたプリンを持って顔を歪めた。 「朝になったら仕事に行かなきゃならないし。そしたらゆっくりプリン食べてる時間もないし。ああ、そうだった。辞めるんだった。そうだった…ははっ……」 「はぁ……」  こうなると幾ヶ瀬は少々面倒くさい奴で。 「尊敬する稲川淳二大先生を目指して怪談師になる夢を叶えるんだ。目指すは怪談グランプリ出場……ああ、YouTuberにならなくちゃ。そうだ、プリンをカラダにかけて舐め回すっていう動画はどうだろうか」 「どうだろうかって、お前がどうなんだろうな」 「あははっ、もうプリンを見るとヤらしいことしか思い浮かばないんだよっ!」 「あー……うん、だな。うん……よし、後で一緒に食うか。うん、それまで幾ヶ瀬、寝てていいから。だいじょぶ。ちゃんと起こしてやるって。うんうん、怪談グランプリにも出たらいいさ。存分に怪談を語ったらいいさ」 「……ははっ」  薄ら笑いを浮かべて押し黙る幾ヶ瀬。  頭の中で名作怪談をリプレイしているのだろうか。  時折、唇が震えている。  怖い。

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