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【第18話】こうして秘密が暴かれる(5)
「ゲームだったら一緒にしようよ。ねぇ、有夏ぁ、一緒にしようよぅ」
「一緒にって対戦かよ。幾ヶ瀬Vita持ってねぇだろ」
「あはは、大丈夫」
おかしなテンションのまま、クローゼットの引き出しから出してきたのは小さな箱だった。
蓋を開けてお馴染みのカードを取り出す。
ダイヤにスペード、ハートにクラブ──普遍的なそのマーク。
「……トランプかよ」
幾ヶ瀬、ニコニコ笑って頷く。
「古くからあるものが、結局一番面白いんだって。何する? 七並べ? ババ抜き? ダウト?」
「………………」
どれも2人でしても面白くないゲームばかりだ。
「いや、あるいはダウトなら……? いや、お前もう寝ろ。なんでこんな夜中に2人してトランプしなきゃなんねぇんだよ」
「まぁいいじゃない。ババ抜きしようよ? 楽しいよ?」
「楽しいわけねぇだろ。隣りのクソビッチでも呼んで3人でやるか? 夜中だろうが何だろうが、呼びつけりゃホイホイやってくるだろ。バカだから」
バン!
幾ヶ瀬がテーブルを叩いた。
「絶対に嫌ですぅ。有夏と2人で遊ぶんですぅ」
「お前、酔ってんじゃ……」
「素面ですぅ。さっきまで仕事してたんだから、酒なんて飲む間もありませんー」
「うっざ……」
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