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【第18話】こうして秘密が暴かれる(6)
確かに酒が入っている様子はないが、この夜中に疲れるテンションだ。
本人はストレス解消のつもりだろうが、巻き込まれる方としてはたまらない。
「よし。神経衰弱にしようね、有夏。よぉーし、がんばるぞッ☆」
「ゾッ☆……?」
ゾッと青ざめる有夏を無視して、なんだか突然始まってしまった。
「負けた方は、罰ゲームとして秘密を言うんだよ。分かった? 有夏」
「はぁ、何そのルール」
神経衰弱という名称が既にイヤだと、首を振る有夏の意志など完全に無視だ。
幾ヶ瀬はさっさと座卓を部屋の端へ寄せて、床にカードを裏向けに散らし始めた。
「ホントにやんのかよ。で、秘密って? 何? ヤなんだけど?」
物覚えが悪いと自覚があるのだろう。
有夏はカードを並べる幾ヶ瀬の邪魔をする。
じたばた手足を動かしながら床を転がった。
「コラ、有夏! やめてって」
「しんけいすいじゃくはイヤだ! 有夏の心もすいじゃくする!」
「はい? 何言ってんの、有夏?」
散らばったカードを整えながら幾ヶ瀬、真顔である。
「……急に我に返るんじゃねぇよ」
「いや、有夏の小さな脳がショートしてるのが面白くて」
「小さな脳って言うんじゃねぇ」
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