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【第18話】こうして秘密が暴かれる(8)
「ごめんねぇ、有夏。ずっと謝りたかったんだ」
「りこーだー……笛? どういうこと? えっ……」
「魔が差したかなぁ。好きな子の笛をペロペロしたいって男子中学生の夢じゃない☆ あははっ、でももう時効だよね」
「現実に聞いたことない。ギャグ漫画のヘンタイの十八番を、まさかコイツが実践しようとは……」
有夏の視線は虚ろだ。
「そんな顔しないで、有夏♡ 今や笛どころじゃないものをペロペロしてるんだからっ☆」
「あっ、急に眠気が……」
予想を超える衝撃発言に、小さな脳の回転が止まってしまったか。
さぁ有夏の番だよと促されて、機械的にカードをめくる。
「スペードの7とダイヤの7って……有夏、ヒキがいいね。ハイ、有夏さんに1ポイント!」
「いちぽいんと?」
自分の知る神経衰弱のルールとはかなり違う展開だと、有夏は戸惑いの表情を浮かべたまま。
謎テンションの幾ヶ瀬はさっさと次のカードを引いては派手なリアクションで宙を仰いでいる。
また外れたらしい。
「俺の秘密をもう1つ。俺ね……」
「……何だよ」
こうなると嫌な予感しかしない。
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