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【第19話】つぎのあさ(8)

 有夏は顔を離すかわりに、むくれた表情をつくった。 「ヘンタイのくせに。それに幾ヶ瀬、仕事やめるって言った。16話くらいからずっと言ってる」 「16話って……ちょっとやめてよ? 何なの、その時間軸」 「ははっ」  今が19話なので、かなりこのネタを引きずっているといえよう。 「ちょっと、やめてったら! その妙な時間軸で物事を説明するのは」 「幾ヶ瀬?」 「うぅ……」  挙動不審気味な幾ヶ瀬を、有夏は小馬鹿にしたように肩をすくめてみせた。 「やめるんなら平気だろうが、首デロンデロンになってても」 「キスマークでデロンデロンってどういう状態? いやいや、でも……」  でも、何? と有夏が見つめる。  幾ヶ瀬の手がピクリと動いた。  有夏の頬に触れようとして、寸前で引っ込める。 「いーくーせぇ?」

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