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【第20話】そのイタズラは正義か悪か(3)
「ありか……何なの、これ……」
銀色のそれは、よく見れば皺だらけである。
テラテラと光る不気味な銀──そう、アルミホイルだ。
「ビックリしたろう?」
「あ、ありか……」
アルミホイルをクチャクチャに丸めて、寝ている幾ヶ瀬の口の中にねじ入れたのだ、この男は。
信じられないという、抗議の視線を気にする素振りもない。
本人は悪戯のつもりなのか。
艶っぽい笑顔をみせる有夏の目元は少し腫れていた。
おそらくワクワクで一睡もせずに決行(アルミホイルを口に入れる)の瞬間を待ち構えていたのだろう。
「ありか……。周回遅れのハロウィンじゃないんだからね? イタズラにしたって、限度ってものがあるんだからね……」
「え、なんですか?」
「あり……ふざけっ……いー、いーーーっ」
「イー」の口で何度も息を吸う。
歯と歯の間に新鮮な空気を通して、アルミホイルの不快な歯触りを消し去ろうとしているのだ。
「幾ヶ瀬、アルミホイルと噛むと電流が流れるんだって。知ってた?」
「いや、知らな……」
「なんとか電流っていうらしい。ツバを介して、歯の詰めものとアルミホイルの間で電流が流れるんだって。不快極まりないだろ? グー○ル先生が言ってた」
「ひぃ、怖ろしい! 何なの、この子!?」
しれっとした表情でグーグ○先生から得た知識を披露する有夏に、幾ヶ瀬は肩を震わせた。
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