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【第21話】魔法のアイテム(3)
「面倒臭くないよ。コンセント抜くだけでしょ。待機電力ってのを知らないの?」
「また始まっ……」
「何?」
「や、べつに……」
一瞬の沈黙。
気を取り直したように、幾ヶ瀬は続けた。
「テレビつけてなくても、コンセントに繋いでるだけで電力を喰うんだよ? ついてないテレビにお金払うって損でしょ」
そんなたいして変わんねぇよという小声を聞き咎めたのだろう。
幾ヶ瀬が有夏の手からゲーム機を奪った。
「ちょー、いくせ?」
「いい? 考えてよ。有夏が好きなビスコだって1円足りなきゃ買えないんだよ? 1円を笑う者は1円に泣くんだよ?」
「でた、名言」
有夏っ、と怒鳴られて彼は肩を竦めた。
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