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【第22話】いいところ(5)

 腹の奥でキュンと感じてしまったのだろう。  返事をするように後ろを締めて、有夏は潤む目を幾ヶ瀬に向けた。 「……んで、そんなの、聞くかな。有夏がイヤっていったら、しないのかよ?」  締めつけに任せるままに指の力を抜いて、幾ヶ瀬は恋人に顔を近付ける。 「そりゃ……有夏が嫌ならしないよ?」 「やだぁ!」  途端、有夏は顔を歪めた。 「有夏がいやっていっても、して……」 「あ、有夏……」  目を見開く幾ヶ瀬に、有夏の顔が近付く。  柔らかな唇が幾ヶ瀬のそれに重なり、同時に熱い舌が唇を割って入ってきた。  互いの口腔の粘膜を蹂躙するかのように舌を挿れたり、抜いたり、絡めたり。  激しい息づかいと、唾のたてる音が長い間つづく。  口の中が互いの唾でいっぱいになって、2人はようやく顔を離した。  コクリと音をたてて口中にたまった唾液を呑み込んでから、有夏が幾ヶ瀬の袖をつかむ。 「ユビじゃヤだ。ほかの……」 「有夏、かわいい……。ほかのって何? 何挿れてほしいの?」  言いながら幾ヶ瀬は、もどかしげに履いているものをずり下ろす。  屹立したそれの先端から溢れる白い液が、外からの灯かりに照らされてなまめかしく光っていた。

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