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【第25話】正月気分(3)
「大掃除のとき、有夏はこの家から逃亡していたけどね!」
「うっ……」
12月最終日、有夏は自分の部屋に戻って(お忘れかもしれないが、有夏の部屋は隣りにあるのだ)アマゾンのダンボールに埋もれて漫画を読んでいたのである。
それを今になって怒っているのだろうか?
いや、まさか!
賢明な幾ヶ瀬のこと。
有夏が手伝うなんて、そんなのとっくに諦めているだろうし、むしろいない方が邪魔が入らず仕事がはかどると分かっているはずだ。
「有夏が怒られるいわれはないな。うん」
しれっとした様子で結論づけた有夏は、再びゲーム機の画面に視線を落とす。
「あー、お腹すいてきたなぁ。何か食べたい……餅かな」
「はぁ?」
「幾ヶ瀬、餅。3つね。有夏、きなこもちにする」
青筋がもう1本浮いたことに、有夏は気付いていない。
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