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【第30話】独りのときのテンションたるや(5)

 声が掠れてしまって、室内にまで届かない。  玄関から向こう──短い廊下と部屋の間の扉が開け放たれているせいで、室内が丸見えだ。  コタツが見える──だが、その中に有夏はいなかった。 「セイッ!」  ──なにやってんの? え? てか、なにやってんのかな?  ベッドの上に立ち尽くす有夏は……何というか、変な感じだった。  朝と同じパジャマを着たまま、ベッドに仁王立ち。  何やらポーズを決めているのか?  そうかと思うと、勢いをつけてベッドに倒れ込む。  スプリングの力を使い跳ねた。  そのまま腕をのばして天井にタッチ。  空中で前転するように、くるりと半回転し、今度はベッドに両手をつける。  直後、両足に力を込めてピョンと床に降り立った。 「国民全員1人1円くれたらそれだけで1億円!」

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