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【第31話】夢は売りもの(9)

「どしたよ、そんな……ろくおく?」  信じられない金額を、絞り出すように口にする。 「BIGだよ! コンビに行ったとき、ピンときて買ってみたんだ」 「びっく?」  コンビニで買えるサッカーくじである。  有夏がその存在を知らないことを意に介す様子もなく、幾ヶ瀬はいそいそと鞄からチケット袋をとりだす。 「来週の月曜には結果がでるからねっ」 「…………はぁ!?」  有夏の声が裏返った。  物騒な響きを秘めている。 「来週に結果って……まだ当たってねぇじゃん、それ!」  一気に形勢逆転といった風に、幾ヶ瀬は身を縮めた。 「だ、だって……当たる気がするんだもん」 「バカじゃねぇの! それ買ったやつ全員、当たる気がしてんだよ! 宝くじってそういうもんだろが!」

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