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【第32話】最後の攻防(5)
「前回……いやいや、何だその時間軸は。コホンッ! 先週も言ったけど、6億円当たったところでそれは俺のだし。有夏のじゃないし」
「………………うざ」
半眼を閉じて遠くを見つめる幾ヶ瀬。
その表情に、有夏は彼の一攫千金の夢が潰えたことを悟る。
「……14個ある数字のうち、2個しか当たってなかった。こんなことってあるのかな」
最下位の賞金580円(←580円!?)に当選するためでも、数字は9つ一致していなくてはならないらしい。
1等の6億円ともなると、当然全数字が的中している必要がある。
「ははっ!」
先週、マンションがどうとか言って浮かれていた奴の姿を思い出したのだろう。
有夏が鼻で笑った。
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