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【第32話】最後の攻防(6)

「いんじゃね? 一週間、夢見て楽しく暮らせたんだから。そのうち580円くらい当たるんじゃね?」  その通りといえばその通りなのだが、有夏の薄ら笑いが勘に触ったようだ。  幾ヶ瀬が口元を歪める。 「……末等なんてどうでもいいし。6億当たんなきゃ買った意味ないし」 「アハハッ! そりゃそうだ」  幾ヶ瀬は両腕に力を込めた。  意地でも天板をはがしにかかる。  唐突に、コタツ戦争が再開されたのだ。 「ちょっ、幾ヶ瀬? 怒ってんのかよ。うそっ!? 宝くじ外れてマジギレとかある?」 「うるさい!」 「えぇ……? 大人げなさすぎる……」 「うるっさいっ!!」

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