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【第32話】最後の攻防(7)

 有夏の腕を振り払って、こたつ布団まではぎ取ってしまった。  その様に、有夏が「ギャアァァァ」とわめく。 「寒い……有夏、死ぬ。幾ヶ瀬が優しくないからよけいに死ぬ……」  夜遅くのバトルに、どうやら双方ヘンなテンションになってしまっているのは確かなようだ。  悔しさに床をのたうち回る有夏の姿に、幾ヶ瀬が雷に打たれたように座り込んだ。 「あ、有夏にはコタツなんていらないってば!」  大仰に叫びながら、芝居がかった動きで右手を差し出し、有夏を助け起こす。  しかし身体に隠れた左手は、高速でこたつ布団をたたんでいることが窺えるはずだ。  天気の良い休日に洗濯するためである。  高速技を発揮してそれをクローゼットの横に置くと、おもむろに両腕を広げてみせた。 「こたつなんかなくても、有夏のことは俺があたためるから!」

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