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【第37話】春の嵐(7)

 ジャージの布越しに前のあたりを撫でると、有夏が微かに呻いた。  布越しに擦られて少し痛みを感じたか、腰をよじる。 「いくせ、なか」 「え? 何か言った?」 「だから、なか……」 「ん?」 「だから!」  顔を押し付けたまま、少々苛立たし気な口調で有夏が囁く。 「ちょくせつさわれ」 「んん?」  ちょくせつさわれ──直接触れってことか? 「いいの? お姉さんは? 掃除はしないの?」  わざと意地悪を言うと、有夏は顔をしかめてこちらを見上げた。 「1回いれるだけでいいから! すぐイクから!」 「う、うぅん……。ムードってやつも大事にしてよね?」

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