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【第37話】春の嵐(18)

「う、うん……」  あれ、なんかボンヤリしてきたなと幾ヶ瀬は次の言葉を言い淀む。  学校がどうとか、……有夏の姉がそんな話をしていたっけ。  でも、上着の裾を握り締めてこっちの顔をじっと見つめる有夏の、その瞳が揺らぐ様まで可愛くて、そんなことどうでもよくなってきた。 「有夏、可愛い……」  乳首に舌を這わすと、思いきり吸い付いた。  両頬がへこみ、はしたない音を立てるくらい強く。 「うぅ……っ、いくせっ?」  乱暴だったかもしれない。  有夏の悲鳴とも嬌声ともとれぬ声を耳に、もう片方の胸に指を這わす。  突起をつまむと、有夏の腰がビクリと震えた。 「いくせっ……それだめ……」  べそをかいたように、声が何だか情けない。 「何? これだけでイッたの?」 「ちがうよ……」  そういうわけではないことは、ジャージ下の膨らみを見れば分かる。 「パンツきもちわるい。ぬぎたい……」  先走りで汚れたのだろう。  胸から手を放してやるが、有夏は裾をまくったままの姿勢でじっとしている。  ヤりたがるくせに行為の際、有夏は完全に受け身だ。されるがままになっている。 「うふっ、しょうがないな」

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