468 / 470

【第42話】お風呂をめぐるあれこれ(表)(6)

 金色の兜、白のマントと白の前掛けには赤で十字のマークが書かれている。  腰には剣。手には特徴的な三角形の盾を持っていた。  それは、せせこましいワンルームアパートと実に相容れない光景であった。  兵隊といっても西洋の、しかも1,000年ほど前の兵隊さんの姿なのだから。 「まぁ、兵隊さんっちゃあ兵隊さんだよな? ほんとは姉ちゃんなんだけども。しかし我ながら、かなり上手い仕上がり……」  有夏の呟きなど、パニック状態の幾ヶ瀬の耳には入っちゃいまい。 「うちのへやにへいたいさんがいるぅぅ……」  何も見るまいというかのように両手で己の目元を押さえ、床に突っ伏してしまった。  ある日突然、ノートパソコンの壁紙がプリンから心霊画像に変わっていた。  それだけで幾ヶ瀬にとっては青天の霹靂である。  さらに恐ろしいのは、画像の部屋がここ──どう見てもこの部屋であるということなのだ。  幾ヶ瀬が「ひぃひぃ」とわめくのは、自分の部屋を映した写真に兵隊さん?が映り込んでいるという事態にパニックを起こしているからに他ならない。  しかもソイツがパソコンに浸食してきた。  もう駄目だ。  霊の悪意を感じる。  もう駄目だ。  ──ということらしい。  なまじホラー好きなため、この状況に激しく動揺し危機感を抱いているようだ。

ともだちにシェアしよう!