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契りを交わす

「俺と契りを交わしてや?」 飲み干したんか、フルフルと紙の湯呑を振っとる男を真剣な眼差しを向けて言う。 「……なんの?」 意味が解らんか様に惚けて言う男に、俺は決意が歪まん様に微動だにせん。 此奴は怖いまま。 でも、興味があんねん。 血だけやなくて……男の全てを手に入れたくなったんや。  其れなのに 「今日のことは誰にも言わんから安心しぃや。こう見えても、口固いんやで?」 諦めた様に、虚ろな上に潤ませた瞳で笑いよった。 「ちゃう……ちゃうねん」 俄に頬が熱くなっていくのを感じる。 悔しさと羞恥心でな。  我慢仕切れんくなった俺は、ガシガシと髪を掻きむしり、あ~と声を上げた。 「俺のパートナーになってや!」 思い切って、男の唇を塞いだった。 唇柔らかいんや、なんて査閲しながら閉眼した。  もう永久に此の儘でええなぁ、と思ってたんに、ムニッと頬を挟まれ、ゆっくりと離されてもうた。 「ほんまに俺でええんか?」 男の声は震えとる。 でも、俺は其の手に優しく重ねてこう言うた。 「アンタがええんや」 最初に似たようなやり取りをしたけど、こない心が温かくなるなんて思いもせんかったわ。

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