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「…動いていいか?」  アスセーナはこいつ誤魔化したな、とは思ったものの、優しく問いただされてまだ怒り心頭でいられるほど子供でもない。とはいえ小慣れた大人でもないから、こくりと頷くだけで精一杯だった。 「あ、ぁぁあ、きも、きもちい…っ!そこ、気持ちぃ…!」  オメガ男性の直腸の奥には子宮の入り口がある。クチクチと入り口を虐めていたはずの熱芯が一気にそこへ押し入ってきて、そのままグリグリと入り口をこじ開けようとしてくるのでアスセーナは甲高い声で悲鳴を上げた。 「ここ気持ちいいのか…?やらしいなアスセーナ…。」 「や、やら…!やらしくなんか…っ!」 「いいぜ…もっとかわいいとこ見せてくれよ。」  根元まで抜いて再び奥まで陵辱してやれば、ひぃひぃと泣きながらも必死に快楽に溺れる番の姿にフランメはか細く保っていた最後の糸がハラリと落ちていくのを感じた。  実は扉一枚隔てた向こうにお互いの両親が揃って初夜を無事終えることを祈って待機しているんだと伝えたら、この子はどうなってしまうんだろう?などと意地悪な考えがちらついたが、あられもない姿で咽び鳴く番を前に、最早それを口にする余裕もなく。  フランメの瞳から徐々に理知的な光が消えていくのを、アスセーナは薄い意識の中で見守っていたが、強烈に立ち上がってきたアルファのフェロモンに流されてしまって、それに畏怖することも出来なかった。  あとは互いに獣のように貪りあうだけだ。  言葉を交わすだけの知能もなくなってしまっていたから、その代わりにひたすら唇を重ねた。浅く深く舌が絡み合う度に激しい水音が鳴り響く。  だがそれをかき消す様に派手な水音が結合部からは溢れていて、2人は互いが奏でる淫蕩な音色に頭の芯まで侵されていった。  ばちゅばちゅと愛液が弾け飛ぶ。  あぁ!とアスセーナが鳴き声をあげるとフランメはその首筋をきつく吸い上げて跡を残していった。  そうしてアスセーナがイク度にキスマークは増えていき、首筋が真っ赤に染まってしまったころ。  快楽より疲労感が優ってきて、初めてアスセーナは理性を取り戻した。途中何度か気絶した気もする。 「あ、フラー、フラー…!もぅ、だめ、…腰、痛い…っ。」  気付けば腰どころか身体中ギシギシと変な音を立ているような感覚がする。発した声もガサガサとかさついていて、喉は渇き切って痛むほどだった。 「…?アス、セーナ?わるい、もう一回だけいかせて…。」  フランメの身体から滴り落ちてくる汗の量も尋常じゃない。このままでは二人して干からびてしまうと思ったが、また奥の窄まりにキスを繰り返されてアスセーナは声にならない声で鳴いた。 「も、も…だ、めったら、しんじゃうって、本当に…無理、なの…!」 「ここ、まだ噛んでない。中に射精()しながらじゃないと番いになれない。」  恐らく相手の頭もぼーっとしているのだろう。どこか機会的な喋り方と共に、スリスリと手のひらでうなじを撫でられた。そこには身を守るためのチョーカーが巻かれていて、フランメはそれを恨めしそうにカリカリと引っ掻いているのだった。 「つが、番に…?」  どういう仕組みなのかは詳しく解明されていないが、射精しながらオメガのうなじに噛みつくと、一生消えない噛み跡が残る。そうする事でアルファとオメガはお互いだけを認知できる番となるのだ。  ぼんやりと教科書の内容を思い浮かべながら、この人にそうされるなら悪くないと思った。何か大事なことを忘れているような気がする、と意識のどこかで警鐘がなっていたが、アスセーナはそんなのはどうでもいいと自らチョーカーを外した。  途端に、深く食らいつかれる。 「…ぁ、ひぁぁ、しょん、な…っ、もうきもちいのやぁ…!」  疲れ切った身体にうなじへの強烈な快楽は、もう拷問でしかない。なのにそのままフランメは腰を使って中まで責め立ててくるではないか! 「ぁ、く…っ、も、ほんとにら、め…死ぬ…っ。」  とうとう後ろからだけでなく前からも透明の甘い蜜を溢してしまって、いよいよ身体中の水分が失われたのではないかと心配した。 「あぁ、すげぇ…前、感じる様になったんだな…?」  前から出るのはこんな色だったか?と違和感を覚えたが、番がうっとりと笑いかけてくれたので、これは良いことなんだとぼんやりとした意識の中でアスセーナは間違った知識を覚えてしまうのだった。 「ん…、そろそろ、で、る…!」  失った水分の代わりに蜜孔に精液を注ぎ込まれ身体が震えたのと、どろりとした暗闇に意識が吸い込まれてしまったのは、ほぼ同時だった。

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