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3-3.
昨晩も結局途中からフェロモンに充てられてろくに睡眠時間を確保できなかった。
いつまでこのセックスが寝るかの二択しかない発情期間を過ごさねばならないのか…とアスセーナは寝起きから気力が尽きていきそうだった。
「アスセーナ、発情期はいつもきっかり1週間か?」
「いや、私の場合は5日ほどで終わることの方が多い…。体調が悪いと長引くこともあるが。」
またしても甲斐甲斐しく口移しで水やら食事やらと世話を焼かれ、今は猫足のジャグジーで背面で抱き抱えられているところだ。
ときおり長い髪を弄ばれる以外は手を出されることもなく、疲れ切った身体をゆったりと湯に沈めているとそのまま寝てしまいそうになる。
初日はほとんど反応しなかったアスセーナの花芯だったが、すっかり前立腺の感覚を快楽だと覚えてしまってからは前まで興奮を伝えるラインが整ってしまったようで、それに興奮したフランメに昨晩は前後ともに沢山甘やかされてしまった。
そのせいで特に腰に疲労が溜まっていて、もう身体を繋げるのは来月…いや1年先でもいいと雄泣かせな発想に耽っていた。
(触れ合っているとフェロモンは落ち着くが気が休まらないというか…お互いに我慢すればもう少し休める気がするんだが…!)
これは流石のフランメも反省していた様で、風呂上がりに身体をふきあげられた後は暫く前室にいるから、と頬にキスを落とすと離れていってしまった。
「昨日もその…散々中に射精したから半日は保つと思う、けどその前に寂しくなったりしたらすぐに呼べよ?」
(むしろ半日しか保たないのか。もっと休ませてほしい…!)
と思いながらも、風呂上がりで暖まったせいか、直ぐに寝落ちてしまったのだった。
じとっとした息苦しさに目が覚める。
はぁはぁと荒い息を繰り返しながらも、自身から湧き立つ強い香りに本格的な発情が来てしまったのだと理解した。
「フランメ…フラー、きて…!」
未だ腰の痛みは抜けきれておらず、ベッドに転がったまま番の名を呼ぶ。
「アスセーナ!う、これはまたすごい…はぁ…、いい匂いが充満してる…。やばいな、まだ無理させたくねーのに…。」
本当に呼べば直ぐにら駆けつけてくれた旦那様の誠実さに感動を覚えつつも、アスセーナのそれに反応して溢れ出したアルファのフェロモンがアスセーナの意識をもぎ取っていった。
「あ、フラーぁ、フラー♡はやく、ぎゅってして…っ!」
甘い声で番に誘われてしまえばひとたまりもない。とはいえもう薬の効果はお互いにきれている筈だからとポケットを弄っていると、その時間すら惜しんだアスセーナに押し倒されてしまう。
「ね、ね?これ、ちょっと舐めてみたいなぁって思ってたんだけどいーい?」
ズボンを寛げながら舌舐めずりしている伴侶を直視できずフランメは心の内で悲鳴を上げた。
「い、いいのか…?」
「それっていいよってことだよね?じゃ、いただきます…♡」
初めてこの部屋を訪れたときにも思ったが、フェロモンで興奮状態に陥ったアスセーナは本当に淫乱でいけない。それがまた強気な顔立ちによく似合うのだ。体格も年齢もこちらの方が随分と有利なはずなのに、全く勝てる気がしない。
(そのうち女王様として君臨されてしまいそうで怖いな…。)
とまで考えてから、フランメはそんな発想を抱いた自分自身に冷や汗が出た。
雰囲気では圧倒されそうではあったが、まだまだ睦言は初心者であったと思い出せたのは拙い奉仕のおかげだった。
「んふぅ…、これ、どう舐めればいいの…?」
「出来れば先端を口に含んでから、吸い上げてくれると…。」
ひとつひとつ支持をしていくと丁寧に行動で示されるのは素直に嬉しい。が、若干16歳の少年に自分好みの性技を教え込むのはまたそれはそれで背徳感があるというか…。それもまた快感を助長するのだから、自分はこんなにも悪い人間だったかと顔を顰めてしまった。
「あへ?ごめん、なんか間違えふぁ?」
「いいや、むしろ気持ちよすぎて…」
アルファ家系の生まれのためか、物覚えのいいアスセーナは教えたことひとつひとつをぐんぐんと吸い上げて自分のものにしてしまう。
急激にこみ上げてきた性感に驚いて静止しようとしたものの、間に合わずに口の中へ放ってしまった。
「んぁぁっ…!これ、濃ゆいの、おいひ…!」
口内に射精されたそれを幾度かに分けて飲み下しているのをみて、愚息がまた反応してしまう。それを見て愉悦に口を歪ませたアスセーナを、ただ呆然と見守っていると、再び剛直に吸いつかれた。
「や、やめ、これだけで枯れちまう…!」
これだけきついフェロモンを振り撒かれているのに、まだ中に挿入できないもどかしさにフランメは焦るが、一度達したせいか力が抜けてしまっていてアスセーナを引き離せない。
「もう1回だけ、ね?お口の中に下さいな…?」
オメガの本能で雄を誘惑する術を知っているのか、自ら指を這わせながら真っ赤な舌を強調してくる。その光景に思わずその喉奥に男根を押しつけるべく腰をふりたくる妄想をしてしまう。
「んぐぅ!ふー、いっひゃい、セーナのお口にくらはい、ね…。」
先程教えた通りに、先端をちゅうちゅうと吸い上げながら両手で根元から擦り上げられる。反応を見てから、竿全体を横から舐めあげられてフランメは興奮から腰を突き上げてしまった。
「かわいい…♡フラー、ここ気持ちいいの?」
「きもち…すげぇ、俺の好きな吸い方…セーナ、もっときつく吸い上げて…。」
請えばその通りに甘やかしてくれる番に、達したばかりのそこがグングンと成長していく。口の中で大きくなっていくのが分かるのか、嬉しそうに顔を歪めるアスセーナにフランメはとうとう頭を掴んで腰を振りたくってしまった。
「んぶぅ!ふ、んんーーーーっ!」
苦しげな声を上げるも、必死に屹立に喰らい付いてくるのが愛おしすぎてもっと苛めたくなってしまう。
「くぁ!!射精すぞ、だすぞセーナ!全部飲めよ…っ!」
「――――――っ!♡」
ビュルル、と音が出たかと思うほど勢いよく小さな口の中に吐精してしまう。喉奥に突き立てられたそれのせいで苦しいはずなのに、頑張って呑み下す番の姿にフランメは充足感すら覚えてしまった。
「は、はぁ…っ♡好き勝手動きやがって…!」
アスセーナのほうもすっかり誘惑香が収まっていて、ふん、とそっぽを向いて丸くなるとそのまま眠りの世界へ落ちていってしまった。
「あれ、アスセーナ?もう寝たのか…?」
二度も抜いてもらっておきながら年頃の男はまだぶら下げたものを天に向けていたが、連日の行為に疲れ切っている番を無理矢理起こして続きをさせるのもどうかと思い、風呂場で虚しく処理してからとなりに潜り込んだ。
可愛い寝顔を眺めながら、まだあの女王様に甘やかしてほしかったのにと落胆してしまったのには気づかないふりをした…。
後日、フランメの研究日誌には『精飲でも鎮静効果あり』と、とても小さな字で書き込まれていたのだった。
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