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第一章 (3/4)

 ――まずい……!  耳の奥で警鐘が轟き、どっと汗が噴き出るのを感じた。  それに反応するかのようにエルベルトが苦しそうに呻き、首筋に顔を埋めてきた。  肌に掛かる熱く湿った息に全身が総毛立つ中、わずかに残った理性でエルベルトの脇腹を蹴り上げた。できた隙間から男の首に脚を巻き付け、身体をテーブルから投げ出す形で床へ引きずり下ろす。  絞め落すには力が足りない。自由になった手で落ちた武器を掴み、暴れるエルベルトが拘束を解いた瞬間、それを顔に目掛けて突き刺した。  だがエルベルトはそれを避けるどころか、刃を素手で掴んで奪い取った。 「ッ!」 「こそくなッ」  エルベルトはナイフを放り投げ、ルカを抱きすくめて押さえると首に舌を這わせた。  ――っ噛まれる!  最悪の事態を覚悟した時、身体が痙攣するように跳ねた。 「え――ぅあッ!」  一瞬、何を感じているのか分からなかった。  噛まれたのではない。汗を舐め取られ、何度も何度も舌に触れられ、その度に弾けるような痺れが襲って腰が勝手に浮く。先ほどとは比べ物にならない熱が、暴走する勢いで身体中を駆け巡り、腹の奥に溜まっていく。 「はっ、ぁっ……ぁッ……」  信じられないことに、喉から絞り出される声には快感が滲んでいた。  ――嘘、だ。  必死に否定しようとするが、感じたことのないほどの愉悦を振り払うすべがなかい。  「っ……ぁ……はっあ!」  次から次へと燃えるような快楽が押し寄せてくる。苦痛だったはずの熱も、いつの間にか欲情の炎を焚きつけていた。  ――な、んで。  舐められたぐらいで、なぜこれほどまでに敏感になる。わけも分からず歯を食い縛って首を振ったが、どうにもならない。意識しないようにしていた中心が服の中で痛いほど硬くなっている。  鼓動が耳の奥でうるさく音を鳴らす。とめどなく溢れる喘ぎと、悪態を吐くエルベルトの声が膜を隔てたみたいに遠のいていく。  小刻みに震えて火照る身体を反されると同時に腕を捕らわれ何もできなかった。 「や……めろっ!」  情けないほどのか細い声は下衣の留め具を荒々しく外される音で掻き消された。臀部に冷たい空気が触れ、身体が竦み上がる。  ――ありえない。こんな、こと……!  尻を高く持ち上げられ、震える脚を割られる。硬く熱い塊が双丘を割って濡れた入口に押し付けられても、拒絶を叫ぶのは心だけで、身体は期待に震えて愛液を溢した。  ――なんでッ、どうしてッ! 「ッ……アあぁッ――ッ……!」  強引にねじ込まれるものに呼吸が止まる。口は開いているのに喉が攣って声が出なくなる。引き裂かれるような痛みよりも、異物が腹の中をみちみちと音を立てながら進んでいく苦しみのほうが耐え難かった。 「力を、抜け……ッ」  余裕のないエルベルトの声は確かに聞こえたはずだが、その言葉の意味までは理解できなかった。頭の中が真っ白に染まって何がなんだか分からなくなる。

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