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エピローグ (3/6)

「待っ――」  咄嗟にその手を掴む。  これから何をするのか、エルベルトの目に浮かぶ情欲を見れば分かる。それに呼応するかのように身体が急速に高鳴るのを感じ、思考を奪われるのは時間の問題だと悟る。 「本当に、いいのか? 暗殺者を番なんかにして。知られたら、なんて言われるか……」 「お前はもう暗殺者ではないだろう」 「でも過去が消えるわけじゃない」  この身体に残った醜い傷跡も一生残る。  服の合わせ目を押さえている手をエルベルトはやんわりとどかし、ボタンを一つ一つ開けていった。 「言いたい奴には言わせておけばいい。お前のこの傷は何者にも屈しなかった証だ。そうだろう?」  上着とシャツが腕から滑り落ち、明るい日差しに無数の傷跡が浮き彫りになる。それを指先で辿りながら、エルベルトが見上げてくる。 「私はそんなお前を誇りに思う。そんなお前だからこそ、番にしたい」  エルベルトの言葉に、想いに、胸が震えてどうしようもない。  まなじりまで熱くなり、もう何を言っても無駄だと観念した。これほど寛大に受け入れられては逃げようがない。  信じるしかない。 「後悔しても、知らないぞ」  エルベルトの頬に手のひらを滑らせ、ルカは自ら唇を重ねた。  自分からするのは初めてで、遠慮がちに舌を伸ばした拍子に腰を抱き寄せられ、繋がりが一気に深まった。 「んッ――」  全身に衝撃が走る。  咄嗟に引いた舌を絡め取られ、力が抜けそうになる。エルベルトの支えがなければ床に崩れ落ちていた。 「後悔だと? する気もなければ、させる気もない」  エルベルトは不敵な笑みを口元に刻んだ。  この男の言うことだ。本当に欠片もしないのだろう。  ルカはそんな愛しいエルベルトの肩に顔を埋め、頷いた。  全てを任せて付いていこう。一緒にいられるのであれば、どこまでも。 「私のものになれ、ルカ」  そっと身体を起こされ、透き通った蒼い眸に視線を絡め取られる。  ルカは高ぶる感情に声を奪われながらも、震える笑みを返してもう一度、ゆっくりと頷いた。言葉がなくてもその気持ちは伝わったのか、エルベルトの眼差しはどこまでも暖かく、喜びに満ちていた。  下衣を脱がされ、エルベルトを跨いでベッドに膝をつくように促される。誤魔化しようのない欲望が恥ずかしくて視線を逸らしたが、それを許さないと言うようにエルベルトはルカの顎を掴み、キスをした。 「お前はもっと愛されることに慣れろ」 「……そんなこと、言われても――んっ」  膝から足の付け根まで指先で撫でられ、中心を軽く握られると言葉が喉に詰まった。  獰猛な色が滲むべるエルベルトの眼差しに晒されながら、根本から先端まで緩やかに擦られて眩暈がしそうだ。  腰の低い位置から淫らな熱が広がり、否が応でも尋問された時の快楽に塗りつぶされた記憶がよみがえる。 「あ……っ」  中心から手が離れ、足の間をくぐって奥を探られる。窄まった襞を軽く押されて指を沈められると、自然に潤った中の愛液が指を伝ってこぼれた。それにすら感じ、鳥肌が立つ。 「……ふ……ぁ」  緩やかな指の動きが腹側の敏感な部分を捉え、腰が自然と揺れ動く。  熱い吐息を漏らしながら、手探りでエルベルトの服に手をかけた。自分だけが一糸纏わぬ姿で乱れていくのは嫌だった。  だがエルベルトは急ぐ気配もなく後ろを解し、傷跡を見つけては舌を這わせた。  その度に全身が震えて指先の感覚が狂ってしまう。  ようやくシャツを肩までずらすことができた瞬間、不意に胸の突起を吸われ、指が二本に増やされた。 「あっ……ん!」  指を折り曲げて襞を強く擦られる。身体を突き抜ける快感に先走りが溢れ、上体を屈めて逞しい肩にしがみついた。 「相変わらず、感じやすい身体だ」  エルベルトが耳元で笑みを含んだ声で囁き、ルカを仰向けに倒し、中途半端に脱げた服もそのままに、そそり立つ中心に顔を近付けた。

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