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第8話 火花と嵐 3
「膝、持って」
足を抱えさせられると、彼を受け入れるのを自分が求めているような気分になってきた。
とろっと目が溶けるのがわかる。
「可愛い顔してますよ」
ちらりと笑われる。
「っ、るせ」
悪態も上擦った声で話にならない。
駿介は腰を支えると、自分のものを持って先を押し付けてきた。
ぐっと押し広げられるときは軽く力を入れて開き、太い部分が通りすぎるととたんに上がってくる違和感を逃がそうと力を抜く。
いつもは容赦なく奥まで入ってくるのに、今回は中途で止まって、さっきまで指が刺激を加えていたところに居座った。奇妙な感じに過敏になっているところを、エラの張ったもので圧迫され、押し広げられることになった。
「……っ、は」
視界がちかちかする。息が上手くできない。
眞樹は何度か口を開閉した。さっきまで上がってきた痙攣の頻度が増えはじめた。びくっ、びくっと全身が勝手に震え、逃がそうと背中を反らせる。眞樹は自分の足を放すと手探りで彼の腕を掴んだ。
「な、やば」
「そうですか」
視界が歪んで見えないのに、彼に凝視されているのはわかる。
「まじ、で、やば、い」
「それは良かった」
彼の声が甘やかすように柔らかい。
本当にヤバいのにやめてくれないのか。
眞樹は指に力を入れて訴えようとした。しかし言葉にならないから伝わりようがない。イったのに出すもののない性器の根元、前立腺のふくらみは刺激を受けてまだ快感を送り出そうとうごめいている。太いものに押さえつけられて熱く腫れていくのがわかった。
出したい。だけど出るわけがない。全身の力がコントロールできず、痙攣が走り抜ける。
「なあ、これ、」
「ちょっと動きますよ」
言いかけようとすると無視された。
とたんにぶわっと首筋まで熱が駆け上がった。ぐちりと中のものが動き、わずかに引き出された。そして内側にある膨らみにカリ首を擦り付けるように、小刻みに動き出した。
「――あ、ああ、っ」
さっきまでの感覚が剥ぎ出したように、鋭くなった。
「あ、ああ、っ、やば、ちょっ」
ごり、ごり、と短いストロークなのに、一番敏感なところを太いものが往復する。そのたびに痙攣が走り、喉から悲鳴があふれ出た。
「う、うあ、なあ、あ、ああ」
「すごい、びくびくしてる」
うっとりとつぶやかれる。
「気持ちいいですよ。締め付けが、強くて」
自分でコントロールできているわけじゃない。内壁はただ強烈な刺激に耐えられず、中のものを引き絞っているだけだ。
「やば、まじ、で、やめ、っ、あ」
悲鳴は甘くかすれて止まらない。腰が動かされるたびに跳ねて、自分のものではないようだった。
力の加減ができずに、自分の指が駿介の腕に突き立っているのも止められない。
「あ、ああ、……っ、あ」
間断なく震えてどうにもならない。全身が熱くて、死にそうだ。
「なあ、や、やめ、」
涙声が混ざってくる。
もうやめてほしい。
ひどくつらくて苦しいのに、どうしようもなく気持ちが良かった。痙攣が走るたびに頭の中に火花が散りはじめた。
ものも考えられなくなってきて、なぜやめさせようとしているのかもわからなくなってきた。目の前が白く灼けてくる。
「……っ、あ、は――」
ぎゅっと覆いかぶさるものにしがみつき、首筋に顔を押し付ける。がつがつ動かれて体がきつい。
助けてくれ。
呼吸が止まりそうになりながら、嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
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