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嫌いなタイプ3
あのギターもケースも大分古そうだったし、貰い物なのだろうか。
ギブソンなどという渋い趣味をしているのも違和感だった。
家が貧乏だというのは、間違いではないのかもしれない。
今思えば、鞄もスニーカーも大分使い込まれていた気がした。
あのあっけらかんとした笑顔を思い出す。
能天気そうに見えるが、あいつにも色々とあるのかもしれないな。
ただの馬鹿に、あんな音は出せやしない。
「でも急にどうしたんだよ。真琴となんかあったのか?」
「…いや、別に」
「えー」
訝しむような視線を向けられるが無視する。
別に説明するようなことはない。
少しの間粘っていたが、俺がこれ以上は喋らないと察した陽介が話題を変える。
隣のクラスだろうか、教室の外から御厨の笑い声が聞こえたような気がした。
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