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嫌いなタイプ4
「くっそ、全然勝てねぇじゃねぇか」
体育が終わり、昼休みになった教室。
その中で男子生徒が数人面白くなさそうに顔をしかめていた。
彼らはクラスでもあまり好感を持たれていないグループで、よく面倒ごとを起こす迷惑な生徒たちだ。
その中心の人物である笹木が人目を気にせず舌打ちをする。
周りはそれを迷惑そうに遠目で眺めていた。
「真琴のやつ、マジむかつくわ。なんでもかんでもすぐボール奪ってきやがって」
「あれじゃこっちが全然ボール蹴れねぇし」
「ほんと空気読めよ」
いや、サッカーってそういうゲームだろ。と周りの生徒たちは思ったが、絡まれるのも嫌なので何も言おうとはしない。
その後も愚痴は続き、ついには真琴自身への悪口へと変わっていった。
「あいついっつもヘラヘラしてるよな」
「何やっても笑ってそう」
「マジ能天気だよな。羨ましい」
「いや、ただのバカだろ」
そうしてゲラゲラと笑い出す笹木たち。
そんなグループに皆が不快感を抱きながら昼食をとる中、ガタッと誰かが勢いよく立ち上がった。
「いい加減うるせぇんだけど」
蔑むような低い声に、笑い声を上げていた連中が顔を向ける。
静まりかえった教室で、驚愕する陽介の向かいで立ち上がった奏一は、相手グループを睨み付けた。
「言いたいことあんなら直接言えよ。群れてる時にしかイキれない小心者」
「な…っ」
「お、おい奏一…!」
ズバズバと言葉を投げつける奏一に、笹木たちは顔を引きつらせた。
陽介が慌てて止めに入ろうとする中、完全に奏一側の女子生徒たちがクスクスと小さく笑う。
それに顔を真っ赤に染めた連中の中で、ガタッと笹木が立ち上がった。
そして大股で奏一の元へと迫って行く。
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