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嫌いなタイプ5

流石にまずいと感じた周りが騒つき出す。 笹木が目の前に来てもなお、奏一は変わらず鋭い視線で相手を睨みつけていた。 「テメェ調子こいてんなよスカシ野郎ッ!」 「スカシてんのはお前だろーが」 「あぁッ!?」 「そうやって大声出せばビビると思ってんのかよ、単細胞」 「ッ、この…!」 完全にキレた笹木が、奏一の胸倉を掴み上げた。 女子生徒が悲鳴を上げる中、笹木は拳を振り上げる。 次には振り下ろした拳の鈍い音と、机や椅子がぶつかる大きな音が教室に響いた。 「いってー…っ」 そう言って座り込んだ相手に、立ち尽くした奏一が目を見張る。 次には慌てて陽介が相手の元へ駆け寄った。 「ま、真琴っ、大丈夫か!?」 「ん?あはは、へーきへーき。いやぁビビッた。いきなり凄いことになってるからさ」 殴られた頬を押さえながら、ヘラヘラと笑みを浮かべている真琴。 その姿を呆然と眺めていた奏一は、次には目尻を吊り上げた。 「殴られてなに笑ってんだよ…ッ。そんなんだから馬鹿にされるんだぞッ」 「え?あはは、なんかごめん」 「っ、だから…!」 詰め寄ろうとする奏一だったが、その前に騒ぎに駆けつけた担任の怒声が教室に響き渡る。 そして「他クラスのやつがなんでいる」と叱られている真琴を見遣り、奏一は舌打ちを漏らした。 なんなんだ、あいつは。 わざわざ殴られて、剰えヘラヘラしやがって。 興味を持った俺が馬鹿だった。 ああいうプライドも何もないやつ、俺は嫌いだ。 苛々する。 ひどく苛々する。 担任に名を呼ばれ、奏一は苛立ちのまま「あぁッ?」とドスの効いた返事をした。

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