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嫌いなタイプ7
「お前…、マジで馬鹿だろ」
「あはは、よく言われる」
もう怒ると言うより呆れてしまった。
何かを言い返す気力もなく、脱力する。
別に、口を挟んだのは正義感云々でではない。
単に気に入らなかっただけだ。
不意に中学の頃の記憶が蘇る。
俺が歌を歌わなくなった時、周りのやつらは態度を翻して、散々影で色々と言っていた。
馬鹿にされたと思った。
酷く屈辱的で、目の前が真っ赤に染まった。
そして気付けば、俺は俺を笑った男子生徒に殴りかかっていた。
自分をこけにされることが、何よりも嫌いだ。
相手に自分を弱いと思わせたくない。
同情も嘲笑も大嫌いだ。
「おい、そっち昇降口じゃないぞ?」
隣を歩いていた御厨が声をかけてくる。
図書館に向かうのだと答えれば、きょとんとされた。
別に放課後図書館に行くのなんて不思議なことではないが、きっとこいつの頭にその選択肢はないのだろう。
「まだテスト大分後だぞ?」
「別に勉強するわけじゃない」
「じゃあ読書?成瀬が?」
「おい。なんで意外そうなんだ」
むかついて御厨に顔を向けて、俺は息を飲んだ。
御厨が此方をジッと見つめていたのだ。
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