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見えないもの3
「ちょっと待っててな。今飲み物持って来るから!」
「…ん」
畳の敷かれた狭い部屋に、一人ポツンと取り残される。
なんとなく見渡してみると、何やら色んなガラクタが彼方此方に置かれていた。
謎の瓶やビー玉、他にも壊れた懐中時計なんかもある。
こんな物、何処で集めてきたのだろうか。
その時ふと、壁に立てかけられたギターが目に入った。
いつかのギブソンのアコギだ。
そういえば今日は背負っていなかったことに気がつく。
「お待たせ!ごめん、ジュースとかないからお茶なんだけど」
「…ん」
入ってきた御厨に、咄嗟にギターから目を逸らす。
御厨はコップをローテーブルに置き、畳の上に座った。
……ほんと今更だけど、なんだこの状況は。
そこまで面識のない御厨の部屋で座り込んでいる自分に頭痛がしてくる。
なんか俺、流されてねぇか…?色々と…。
「……理由、聞かないんだな」
「理由?」
「家に帰りたくない理由」
まずなんでこいつに俺の心が読めたのかも定かではない。
いろんな意味で、この男が不思議でならなかった。
関わるなと忠告する自分がいるのに、こいつを完全に拒絶できない。
それは俺があの日、こいつの歌声を聞いてしまったからだろうか。
あんな今まで聞いたことのないようなメロディを奏でるこいつに、俺は否応なしに興味を抱いてしまっている。
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