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見えないもの7
そこから怒涛の説得に負け、俺は何故かこいつの家に泊まることになった。
ホイホイと風呂に入れられ、夕飯を出され(御厨の作ったカレーだった。ちゃんと美味かった…)、布団を敷かれ(1枚用意があったらしい)、ごろりと寝転がっている。
見慣れない天井を眺めながら、俺はどうしてこうなったと遠い目をしていた。
「いやー、友だちとお泊まりとか初めてだなぁ」
「……他のやつらとそういうことしないのは、家庭的な問題か?」
友だち云々は置いておくとして、こいつの家に来てから陽介の話は確信に変わっていた。
隣の布団で寝転がる御厨は、垂直に上げた片足をプラプラとさせる。
「んー、まぁそういうのもあるかな。うち母子家庭だから、母さんに余計な迷惑かけたくないし」
「じゃあなんで俺を…」
「お前は大丈夫だと思ったから」
当たり前のように告げられて、言葉をなくした。
何処にそんな根拠があるというのか。
大して面識もないのに、こいつは初めから全部見透かしたように接してくる。
「……母親思いの息子なこったな」
誤魔化すようにそう言えば、息苦しくなった。
自分の母親の顔など、思い出したくもない。
自分で地雷を踏んでしまったことに舌打ちが漏れそうになる。
「俺はまだ子供で、母さんに守られてばっかりだからなー」
「……」
「母さんが、よく言うんだ。年齢=レベルにできるような人生にしろって」
「…は?」
いきなり何をと思い御厨に顔を向け、俺は口を閉じる。
御厨は真剣な表情で天井を見上げていた。
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