25 / 142
見えないもの8
「俺は今、ちゃんとレベル16に値するんだって堂々と言えるよう、1年1年で変わっていく必要があるんだ」
「…逆に1年で一気に上げてもいいだろ。年齢と並行する必要なんてない」
「身の丈に合わないことはするものじゃないよ、成瀬くん」
「……」
「待って待って…、もうヘッドロックは勘弁ですから…!」
1年1年で変わっていく…か。
なら俺は、ちっとも成長できていないだろう。
俺はあの時から時間が止まったままでいる。
あの時、俺の前から音楽が失われた日から、ずっと。
ともだちにシェアしよう!