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文化祭2
廊下から聞こえてくる会話。
それは文化祭で行われるという催し物の1つについてだった。
この高校では、いつも生徒たちに募集をかけ、体育館で何かしらの催し物を数組が行うらしい。
それは楽器演奏やダンスやバンドなどと様々だ。
しかし今回はあまり集まりが良くないらしく、あと1、2組は欲しいのだとか。
そのことについて、真琴は文化委員からせがまれているみたいだった。
「お前いつもギター持ってるし、興味あんだろ?なんか歌とかやってくれよ!」
「別に下手でもなんでもいいんだって!面白おかしくやるだけでウケるからよ!」
御厨の歌は、きっと殆どのやつが聞いたことがないだろう。
学校で歌っているのを見たことがないし、そんな噂も聞いたことがなかった。
まだ俺たちは1年生だから、今年が初めての文化祭だ。
歌う機会もなかっただろう。
あいつが歌うのかどうかなんて、正直俺には関係のないことだ。
盗み聞きしておいてなんだが、文化祭であいつが何をしようが知ったことではない。
「じゃあさっ、俺、一緒に参加させたいやつがいるんだけど!」
そう…。
関係ない…はず、だよな…?
「成瀬ー!お前も一緒に歌おうぜ!」
「「「えぇっ!?」」」
突然此方のクラスに顔を出した御厨は、満面の笑みを浮かべてそう言い放った。
一気に周りがざわつき出す中、俺は深い深いため息をつく。
すると次には隣の陽介が慌てたように立ち上がった。
「ま、真琴…!それ禁句…!禁句だから…!!」
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