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文化祭3
次には他のクラスメイトも「こ、このあんぽんたん!」「出たよ真琴クオリティ…!」とオロオロとし始める。
しかし御厨真琴は「ほえ?」とアホ面で小首を傾げていた。
「だって成瀬、歌がなんか凄かったんだろ?有名じゃん」
遠慮のない真琴の発言に、クラス中が「お前ー…!」と心の中で声を上げる。
現実では全員凍りつき、教室の中はシン…と静まり返っていた。
成瀬奏一に歌の才能があることは、学校の誰もが知ることだった。
幼い頃から群を抜いて才能を見せた奏一は、数々のコンテストで優勝し、大手レコード会社と契約。テレビでも一躍話題となった。
しかしある時突然、奏一は音楽の世界から姿を消した。
丁度今から2年前のことだった。
「俺は歌わない」
静かになった教室で、奏一は無機質に言い放つ。
全員に緊張が走る中、なおもあっけらかんとした真琴は口を開いた。
「やだ」
「「「!?」」」
バッサリと言い捨てる真琴に再び周りが騒ぎ出す。
「摘み出せ…!こいつ摘み出せ…!!」
「危険物質だ!有毒ガスだ!」
「誰か猫よけのなんか持ってこい!水入りのペットボトルとか!」
「それ実際猫に効果ないらしいぞ!」
絶叫するクラスメイトと、キレる寸前の奏一と、アホ面の真琴。
それから再び担任の登場によって、怒声が鳴り響くことになるのだった。
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