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文化祭7
誰にも弱みを見せたくないと思っていたはずなのに。
俺は一体、何を吐露しているのだろうか。
こんなこと、誰にも話したことはなかった。
綾人さんにも、陽介にも、自分の弱みをわざわざ見せることなんてしてこなかった。
俺が何より恐れているのは、弱さを見られることだ。
侮辱されることが、揶揄われることが何よりも許せない。
中学の時起こした暴力事件も、歌わなくなった俺を笑った相手に、気付いた時には殴りかかっていたのだ。
馬鹿にされたと思った。
酷く屈辱的で、目の前が真っ赤に染まった。
此方を馬鹿にするような目も、ましてや哀れむような目も向けられたくない。
別に俺は、誰かに同情されたいわけじゃない。
なのに俺は、なんでこんなことを…。
「どれだけ辛くても、俺は歌う!」
「…え?」
俯いていた顔を上げていた。
目の前にいる御厨は、真っ直ぐな眼差しで俺を見つめる。
どくんと、鼓動が高鳴るのが聞こえた。
「だから、成瀬も歌うんだ!」
「はぁ?だから、俺は歌えないんだって…!」
「そんなの抗え!」
「…っ」
胸の奥深くに押し潰していたものが、疼き出す。
どくんどくんと、心臓の音がする。
「というか、できるできないで縛られる必要なんてねぇだろ」
「え?」
「だって歌は、自由なんだから」
「…っ」
息を呑んでいた。
目の前で御厨が屈託のない笑みを浮かべる。
なんなんだ。
なんなんだ、この男は…。
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