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問題点
文化祭当日まであと1週間と少し。
簡潔に言う、時間がない。
「はいはーい、ちゅーもーく!」
借りることができたという空き教室に、御厨の能天気な声が響いた。
こいつはつくづく緊張感がない。
本番まであと少ししかないというのに、焦ったりしないのかよ。
「……なに」
「ちっと俺に考えがあるんだ!」
ででーんと自信満々な顔でそんなこと言われ、首を傾げる。
放課後この教室に呼び出し、まず何をするというのだろうか。
俺としてはさっさと歌う曲を聞かせてほしい。
訝しげに「考えってなんだよ」と尋ねれば、御厨は得意げな顔をしてグッと親指を立てた。
「まず、お互いの呼び名を変えようじゃないか!」
「……」
「ま、待って…っ。しまってる…しまってるから…!」
その首に腕を回して締め上げる。
やっぱ話に乗るんじゃなかった。
こんなの絶対碌なことにならない。
腕を解けば、御厨はゲホゲホと咳込んだ後で此方を振り返った。
「で、でもいいだろっ?切り替えとしてさ!苗字呼びってなんか距離感じるし」
「距離ならあるだろ。幾万高年の距離が」
「遠っ!?俺ってそんな壁作られてたのか!?」
ガーンと擬音が聞こえてきそうなほどのリアクションをとる御厨は、次には泣きついてきた。
正直、結構ウザい。
「なら尚更下の名前で呼ぼーぜー!」
「する意味が分からん」
「気分の問題!」
「つーかそれより早く曲を…」
「真琴って呼ぶならいい!」
「……」
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