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問題点2

結果、強制的に真琴と呼ぶことになった。 向こうもやたら奏一、奏一呼んでくるからウザい。マジでウザい。 「よーしじゃあこれ曲な!俺がいない間に聞いといてくれ!」 「は?どっか行くのかよ」 「ふっふっふっ。実はな奏一、奏一に紹介したい人がいるんだよ奏一」 「それ以上名前連呼したらヘッドロックな」 「じゃー行ってくるー!はいこれ!」 睨み付けると、御厨…ではなく真琴は逃げるように俺にヘッドホンを押し付け教室を出て行った。 一気に静かになった空間で、1人溜息をつく。 人を呼びに行ったみたいだが、何が目的だろうか。 もしかして、俺以外にも誘った相手がいるのかもしれない。 なんだか今後が憂鬱に思えてきた。 紛らわす為に俺はヘッドホンを付ける。 学校専用のラジカセの再生ボタンを押した。 流れてきたのはアコースティックギターの音。 そして真琴の歌声。 ……は?ちょっと待て。 まさかこれ、オリジナル曲…? その時。 目の前に見知らぬ顔が広がった。 「……ぇ」 一瞬の出来事に呆然とする。 次にはヘッドホンを勝手に外され、ジーっと顔を凝視される。 つーかまず、誰だこいつ…!? 「あー、お前か」 「…?」 「真琴が言ってた、面白いやつ」 こいつ、ドアから入って来てないよな? じゃあどこから? もしかして、窓? 訳が分からず固まっていると、次には勢いよく閉まったままのドアが開けられる。 「あぁっ、先輩いた!」 大きな声を上げる真琴に、目の前にいる謎の男はひらひらと手を振った。

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