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問題点3
「この人2年の間宮 遥 先輩!ドラムやれんの!すげぇ上手いよ!」
「…どうも」
「んー」
どうみても普通の生徒ではない…。
長めの黒髪に眠そうな目。
着崩された制服は、シャツのボタンが全て外され、中に赤いTシャツに着ている。
それしてその耳にはピアスが付いていた。
なんというか、オーラというか佇まいというか、全てが怪しく見える。
絶対何かに手を染めている…。
「で。曲聞いたっ?」
「…まぁ、ざっとなら」
「どうだった!?」
「……悪くなかった。ってかこれ、オリジナルか?」
「そそ!まぁ俺が作ったんじゃないけど」
「?」
じゃあ誰が?
そう聞こうとしたが、真琴がすぐギターケースを手に取ったので口を閉じた。
「奏一ってギター弾けるか?」
「…まぁ。ずっと弾いてねぇけど」
「ベースはっ?」
「弾ける」
「流石!じゃあもう3人でバンド組めんじゃん!」
「一度限りな」
アコギ、ベース、ドラム。
まぁ無理なことではないと思う。
もっと時間があるのなら尚更。
「おい。たった1週間ちょいでこの曲仕上げて、なおかつ披露するつもりかテメェは」
「ん?当たり前だろ、何言ってんだ奏一」
「…ッ」
「いてぇ!頭ブツなよ!バカになる!」
「既にどうしようもねぇ馬鹿だろうが!」
つーかアコギ以外の楽器のこと考えてきてねぇだろコイツ…!
なんだ?俺がやれと?
やって1週間とちょっとで完璧にしろと?
「マジ殺してぇ」
「ねぇ煩いんだけど。俺眠れないじゃん」
「先輩は何寝る気満々なんですか!」
「えっ、布団あったのかここ!」
「んー、真琴も寝るー?」
「寝るーっ」
「おいッ」
何故か布団に横になっている間宮先輩。
その布団に入り込もうとしてる真琴をもう一回殴って引き留めた。
先輩も何布団の中に招き入れてんだよッ。
真琴の馬鹿は自分で誘ったくせに責任感がゼロだ。
早々にばっくれたくなったが、学校側には話をしてしまっている。
もう後には引けない。
ここは俺がやるしかないと、この2人を前にして強く思い知らされ絶望するしかなかった。
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