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問題点7
「…ッッ」
喉がギュッと締め付けられた。
初めから声の出し方を知らなかったみたいに、口からは空気のみが吐き出される。
サビの直前に、俺は声が出なくなった。
「奏一、大丈夫か!?」
「…っ」
「ん。なにっ?」
携帯を取り出し、真琴に見せる。
こうなることは分かっていたから、事前に文字は打ち込んであった。
【少しすれば声は出るようになる】
そう。10分ほど間を取れば、また元のように声は出るようになる。
しかしそれは、歌を歌う上であまりにも致命傷だった。
俺が歌を遠ざけたのか、歌が俺を遠ざけたのか。
この現象が起きるたびにそのことが何度も頭をよぎる。
悔しい。酷く悔しい。
そう、1番の問題は時間のなさでもオリジナル曲だということでもない。
俺の声が出なくなるということなのだ。
「……お前、本番1人で歌えよ」
「え?」
声が出るようになり、その後休憩を取っていた時、俺はそう切り出した。
真琴と遥先輩の視線が向けられる。
俺は碌に顔を上げられないまま言葉を続けた。
「ベースは変わらず弾くし、何の問題もないだろ。寧ろ俺が一緒に歌うことの方が…」
「やだ」
「な…」
即答されて堪らず顔が引きつる。
隣で遥先輩がプッと吹き出し可笑しそうに笑った。
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