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問題点9
あれから一度も、最後まで歌い切ることはできなかった。
分かっていたことだ。
しかし、それでも落ち込むものは落ち込む。
今日はどうしてもクラスの出し物の準備の方へ参加しなくてはならず、放課後に練習することができなかった。
時間がないのにと焦りが募るが、ウェイターをやる身としては全てを放っておくこともできない。
教室の中も大分飾り付けができてきている。
それがより一層文化祭があと僅かだということを実感させてきて、体が強張った。
このままではいけない。
たかが文化祭の出し物。
そう思っていても、きっと今回のことは俺にとって重大なことだと思った。
ここで失敗するのか成功するのか、それで俺の人生が変わってしまうのではないか。
そんな考えが常に頭の片隅に存在している。
「…いち、…奏一!」
「…っ」
声をかけられ我に返った。
顔を上げれば、此方を覗き込む陽介と目が合う。
「……なに」
「いや。本番の段取り、説明しても聞いてないみたいだったから」
「ぁ…、悪い…」
「別にいいけど、どうした?心ここにあらずだったな」
その問いかけに言葉が詰まる。
どうやら自分が思っている以上に余裕がないようだ。
何も言えずにいる俺を無言で見つめていた陽介は、不意に笑みを浮かべる。
そして俺の肩に手を置くと、次には明るく言い放った。
「バッティングセンター行こうぜ!」
「……は?」
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